旧大内邸は、立花町白木地区の山村には珍しく町屋造りの建築の特徴を残しており、大きな梁を使ったがっしりとした骨組みは豪農の風格を漂わせています。
明治17年(1884年)頃建てられた母家は大正初期と昭和初期に増築がなされ、明治、大正、昭和と三つの時代にわたる調和のとれた建築様式を同時に見ることができます。繊細な細工の施された欄間、継ぎ目のない長い木材を使った廊下、複雑な構造の松の太い梁、2階の天井を覆う竹なども見どころの一つです。なかでも書斎として使われていた2階の部屋は三方がガラスに囲まれ、光と風を存分に感じられる心地よい空間となっています。
しかし、旧大内邸はずっと現在の状態で保存されてきたわけではありません。約30年前、廃屋寸前の状態になっていたところを、田中真木さんをはじめ地域の人々が旧大内邸保存会を結成し、署名活動や「瓦一枚運動」(募金活動)、町への陳情などに取り組み、現在の姿まで修復してきたのです。そのかいあって、平成11年(2000年)、旧大内邸は町に寄付され、「有形文化財」に指定されました。