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シェフ・イン・レジデンス

シェフ・イン・レジデンス(後編)

シェフ・イン・レジデンスの最終日となる9月16日(金)はレジデンス中に訪れた農家さんで仕入れた野菜や立花町を中心とした調味料を使って旧大内邸でレジデンスのお披露目ランチ会を行いました。ゲストはレジデンス中にお世話になった地元の皆さん。

élabの青柳さんと大山さんは前日は深夜まで、当日は早朝から、16人分の料理の準備を進めてくれました。

旧大内邸料理研究会の方々との会話の中から生まれたお稲荷さんも登場しました。

会場となる旧大内邸の大広間の出入り口を開放していつもとは異なる雰囲気を演出します。訪れるゲストの方もお洒落をして来てくださいました。

お品書きは、白木汁、ゴーヤの南蛮漬け、蒸しナス、こんにゃくと里芋のぬか炊 き、くわの葉ずし、いなり寿司、ぬか漬け、刺身こんにゃく、テングサのところてん、トマトウォーター、新しょうがの柿酢ソーダ。旧大内邸で大切に使われてきたお盆や食器に盛り付けます。

滞在中に訪問した地元の方々に向けて青柳さんから料理の説明を行います。食べ慣れた立花町の食材のいつもと少し異なる味わいに、参加者の皆さんも箸が進みます。

青柳さんと大山さんからは料理だけでなく、レジデンス中に得た気づきをもとに「あんばいのレシピ」と名づけた八女市立花町の食と農の営みを発表してもらいました。

旧大内邸 あんばいのレシピ

 1 足元のつながりから始まる

2 野菜8割、調理2割

 3 手作りの感性

 4 日々実験

 5 人の手を加えて豊かにする

 6 はしり、さかり、なごり

 7 大声で笑い合う

 8 実家のようなおもてなし

旧大内邸の食文化を育んできた田中真木さんからもあたたかいメッセージをいただきました。真木さんが大切にしてきた料理との向き合い方が世代を超え、地域を超え、青柳さんの料理にも表現されていることを喜んでくれていました。

なんと、真木さんはこの日のために真っ赤な椿の花びらが美しい椿ずしを作ってきてくれました。真木さんの著書「あんばいの食卓」にも掲載されている椿ずしは真木さんのお料理を象徴するような一品。やぶ椿の花びらをさっと茹でて白梅酢に漬けることで、夏になっても咲いている時のような色合いを保つことができるそうです。

料理の締めを飾るのは、青柳さんたちが真木さんに作り方を教わったテングサのところてん。黒蜜に「農家民宿 大道谷の里」の中島加代さんの庭で採れたローズマリーを香り付けし、いつもと少し違う印象になりました。

美味しい食事と楽しい会話に包まれた2時間はあっという間に終わりました。

八女市立花町で培われてきた食文化とその背景にある暮らし方の知恵。それらはモノとして保存することができないゆえに、誰かが継承していかないと途絶えてしまいます。それを継承するのは必ずしも「地元の人」でなくても良いのではないか?むしろ、「外の人」の視点を入れることで、地域文化は継承・発展していくのではないか?旧大内邸がアジアとの交流拠点として発展してきたように。

そんな思いでスタートした今回のシェフ・イン・レジデンスは参加者の笑顔と共に終了しました。

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